現場調査時に無駄話をした結果
あなたがマンションの居住者として、若し調査に入っている施工者が廊下でペラペラおしゃべりをしていたらどんな気分でしょうか。
「ちゃんと調査してくれているのだろうか・・・」
「節操がない人達みたいだけど、どこの会社の人達だろう?」
下手すると 「早く帰って欲しい」とさえ思われかねません。
各部位の納まりのこと、寸法の確認、仕様の打ち合わせ、劣化の状況等、仕事に関わる話ならば別です。
しかし中には、「昨日テレビ何みた?」 「お前給料いくらもらってる?」 「そういやあっこの管理会社ひどいねー。」 等々、よそでやれよという内容の会話をしている輩がたまにいます。
ましてや「うちの嫁さん、家事サボってばっかでさー」 「あの部長、駄目だよねー。」
みっともないことこの上ないです。
私が工事会社に入って3年目のある日、協力会社の人を数人連れて、とあるマンションの調査を行っていました。
まだ居住者の視点など考えていなかったその時は、年配の方々の他愛もない話に耳を傾けていました。
過去の仕事の失敗談、どこのゼネコンが仕事がしやすいか等々。
みんなで談笑していたその時、突然「ドン!」という音が聞こえたのです。
会話がピタリととまり、皆が目を向けたのは、玄関扉―。
そこは居住者の方々が行き来する共用廊下。そしてちょうど一戸の玄関扉の前だったのです。
うるさい会話にしびれを切らした居住者の方が、内側から玄関扉を蹴飛ばした音だと分かった瞬間、「すみませんでした」と一声だけかけて立ち去りました。
運よくその工事は受注しましたが、号室を憶えていなかったので、面と向かって謝罪の言葉をかけることができなかったことが、今でもどこかに引っかかっています。
施工者にとっては数件あるなかの1件のマンション、しかしそのマンションにとってはひょっとしたら工事を頼むかも知れない施工業者、そんなマンションの居住者の立場に立って、たった調査の数時間だけ集中してそのマンションのことを考えて、そのマンションの為の仕様を提案したいものです。
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