エポキシ樹脂の漏れに注意
コンクリート・モルタルのひび割れ補修には、エポキシ樹脂の注入を行うことがあります。
エポキシ樹脂とは、通常2液(主剤と硬化剤)を混ぜ合わせて使用することにより、接着に使用したり、コンクリートの補修などに使います。
適度な粘性を持ち、ひび割れに注入することでそこに留まり、固まったのちに強い接着力によりひびを塞ぎます。
また透水性が低いので、手摺の足元へ注入する事により、内部への浸水を止めて劣化を防ぎます。
紫外線に弱いので露出での使用は出来ませんが、その短所を補って余る長所(固化時の収縮が小さい、接着性に優れる、様々な材料に使用できる)があるので、さまざまな現場で重宝しています。
エポキシ樹脂を使用する際、「他の箇所からの漏れ」に細心の注意を払わなければなりません。
共用廊下やバルコニー、階段室などの腰壁(1.2mくらいの高さの外側の壁)の内側にひび割れを見付けた場合、同じひび割れが外側にも入っていることがあります。
この時、ひび割れが貫通している可能性が高く、片方からのひび割れ補修としてエポキシ樹脂を注入すれば、反対側からはみ出した樹脂が漏れてくる恐れがあります。
そうならない為にも、どちらかの面のひび割れを、剥離シール(のちに撤去しやすいシーリング材)で塞ぎます。
それから反対側のひび割れに、低圧注入工法などでひび割れ補修を行います。
剥離シールが反対側に打たれているので、貫通するひび割れだとしても、漏れる事はありません。
そればかりか、反対側が全て塞がり、ひび割れ補修が両方いっぺんに完了させる事も出来ます。
剥離シールを取ってみたら、未だひび割れが埋まってなかったなんて時も、すでに反対が補修完了しているので、だだ漏れの心配はありません。
また、コンクリートの隙間やジャンカ、手摺の足元などへ樹脂を注入するときも、その付近(特に下方)の劣化補修を先に済ませておかないと、やはりだだ漏れが起こる可能性があります。
エポキシ樹脂は便利な材料ですが、付いてはいけない所に付くと、なかなか取りづらいので、細心の注意を払って扱いたいものです。