知らぬ間に起こっている結露の怖さ
内部からの漏水のうち、特異なものに「結露によるもの」もあります。
天井裏は、部屋内、または外部との温度差が出やすい場所です。
そして空気中の水分は、温度が上がれば液体になります。
部屋内や外部が暖かく、天井裏が温度が低い状況になると、部屋内や外部に面した壁からの高い温度に熱されて、天井裏内の壁際の空気中の水分が水滴になります。これが結露です。
断熱処理がなされていないとよく起こります。 断熱処理をするか、屋根裏内に強制換気を設置するなどの処置を致します。
天井裏を通っている換気用の管が、断熱加工をされていない場合、配管廻りの空気が暖められて、結露をおこすことがあります。
そのような場合は、配管廻りに断熱材を巻くなどの処置を行います。
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天井に溜まった水を抜いている。長い時間かけて水がたまり、天井ボードが変形していた。
そして非常に怖いのが、換気用のダクト(蛇腹状の配管)の繋ぎ方が良くない、元々繋がっていないなど、あってはならない不具合で起こる場合です。
配管の不具合箇所から噴き出た熱気が、天井裏で逃げる道を失い、水浸しになっていきます。
早急に配管を修繕する必要もありますし、修繕後も内部は乾燥させれば元に戻るのか、ボードから全てやり直さなければならないのか、どちらにしても後処理は大変です。
新築時にも換気用ダクトの施工ミスはあるでしょうが、それにも増して懸念されるのが、訪問販売で換気扇などの取替を進めてくる業者です。
オートロックでもどうにかして入ってきて、「どこどこのお宅も契約しましたよ」 「今日は○○フェアでこの地域をまわっています」 などと言って契約を取ります。
そして行われた工事で付いた新しい換気扇をみて満足します。早速その日から使い始めます。
それから数か月後・・・ 天井からポタッ、ポタッと水が滴ってきて初めて、天井裏の配管ミスと天井内の状況を知ることになるのです。
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天井裏の結露換気扇の配管ミスにより、天井内よりも高温の空気が漏れ、逃げ場を失った蒸気がたまったものと思われる。
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換気扇とダクトの取り合いの不備。梱包用の布テープでグルグル巻きにされていた。建築に関する知識の無さからくる欠陥工事。
全ての設備会社がそのようなことをしている訳ではないですが、管理組合ではなく個人が相手なので、きちんとした対応が出来ない場合があります。
訪問によるリフォームを受ける場合は、よく考えて、周囲の意見なども参考にして判断することが望ましいです。 その場で判を押すなどもってのほかです。
雨漏りではない、内部からの漏水―― 原因は様々です。
そしていつ、誰が被害者になるか、またもしかすると加害者になるか分かりません。
その様な時のために、管理組合や管理会社がどこまで対応できるか、漏水に対応できる火災保険に入っているかも知っていないといけません。
また、床下や天井などを通っている配管が共用部分なのか、専有部分なのかも明白にし、管理組合の情報として共有しておくことが賢明です。
しかし建物の配管が劣化する時期は、おそらく同時期でしょうから、配管更生の費用を管理組合で負担するにせよ個人で負担するにせよ、管理組合全員で話し合いをいておくことが望ましいです。